介護事業所に限らず労務管理の第一義的な目的は、従業員の不満足感情の解消にあるといえます。
具体的には、「経営理念がない」、「管理・評価・人事方式のブラックボックス化・恣意化」、「職位が(事実上)混乱している」「管理者が現場にあまりいない」、「サービス残業が多い、昇給がない」、「会話がない(対人関係が悪い)」、「体調が悪い(腰痛等)」などを解消するために労務管理はあります。
介護事業は労働集約型産業といわれています。労働集約型産業の特徴の一つとして、不満足要因がはびこりやすいということがあげられます。このことは、なお一層の労務管理が求められるということを意味しています。
介護労働者は不満足要因をなくせば、ある程度は一人で満足要因(やりがい等)を見つけて取り組んでいきます。「人の役に立ちたい」と思って志望してきている職員が多いからです(例外はいるでしょうが…)。しかし、不満足要因がある状況下で満足要因を見つけるのは、どんなに人間性の優れた介護職員でも困難です。従業員が仕事に対するやりがいを見いだしたり、志を持って仕事に取り組むには、まず不満足要因の解消が重要なのです。
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介護事業に従事する労働者は、「専門教育を受けた新卒者」から「子育てが一段落した主婦」まで、あるいは「ボランティア」から「国家資格者」までと多様性のある人間集団です。
平成20年度 介護労働実態調査結果について(介護労働安定センター)上記の調査から、生きがい・社会参加を目指して、資格技能を学び、現在の仕事を選んだ人が多いと言えます。もともと社会的に自負できる仕事ですので、働きがいがあるところで働きたいと思うのは自然な流れです。
したがって、そうした志望動機の労働者が多いので(勿論そうでない人もいますが)、人の役に立ち、生きがいを実感しつつ専門知識と能力を開花させていく職場になれる下地は、ほとんどの介護事業所においてできているのです。
そうした職場になるためのスタートライン、つまり職員育成メソッドのスタートラインが「経営理念」の明確化・公表です。
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