小千谷の社会保険労務士

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「名ばかり管理職」

2008年1月、東京地裁で出された判決が大きな波紋を広げました。大手ハンバーガーチェーンの現役店長が会社に対し残業代の支払いを求めた裁判で東京地裁は「店長には十分な権限や待遇はなく、管理職にはあたらない」として会社に残業代を含め約750万円の支払いを命じました。「店長は管理職であり残業代の支払いは不要」と考えていた会社にとって大きなショックを受ける結果となりました。

この裁判の争点は「店長は労働基準法41条2号の管理監督者に該当するか」でした。従業員のやる気を高める手段としていろいろな役職を設けている人事管理制度を、会社が都合よく解釈して運用してきた結果、厳しい労働条件で働いている管理職に不満と疑問が生じてきたといえます。

労働基準法第41条第2号では「事業の種類に関わらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者は労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しない」と定めています。この法律を会社の管理職(このケースでは店長)に当てはめ残業代の支払いを行っていない状態でした。

労基法でいう「管理監督者である管理職」と「管理監督者でない管理職」の具体的で明確な判断基準があるわけではありません。ただ、厚生労働省は労働基準局監督課長名で全国の労働局に「管理監督者の範囲の適正化について」と題した通達を出しました。
 その中で、管理監督者の範囲について、「部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者に限定されなければならないものであるとし、資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務様態に着目する必要があり、賃金の待遇面についても留意しつつ総合的に判断する」こととしました。

つまり、「経営者と一体的な立場」「出退勤、休憩時間などの時間管理を自身の判断で決めることができる」「地位にふさわしい賃金、手当、待遇を与えられている」等が必要であり、会社内における店長、部長、課長等の役職名を持つ管理職が直ちに労働基準法上の管理監督者に該当するのではなく、実態で判断すべきされています。

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