違うの?残業代と割増賃金
TV・新聞報道などでは「残業代」と「割増賃金」を同義語的に使っている場合(聞いているだけではどちらかわからない場合)がありますが、この2つを一緒にすると違法・合法の境目が分かりにくくなってきます。労務管理上、この2つの区別ははっきりとしておくべきです。
簡単に言えば、
残業代=所定労働時間を超えて勤務した場合の賃金
割増賃金=法定労働時間を超えて勤務した場合に上乗せされる賃金
ですから、法定内時間外労働(=所定労働時間を超え法定労働時間を超えないの労働)の場合には、残業代は発生するけど割増賃金は発生しません。
特にパートさんのように勤務時間が短い方や、遅刻等による勤務時間が短かった場合については、法定内時間外労働と法定外時間外労働とに分けて考えなくてはなりません。
たとえば、所定労働時間が4時間のパートさんだった場合、4時間を超えれば当然ながら時間外労働(=残業)になりますので、残業代は支払う必要があります。
しかし、労働基準法により割増賃金の支払い義務が発生するのは、1日8時間または週40時間を超える場合、すなわち、法定外時間外労働に当たる場合ですから、法定内時間外労働であれば、“割増賃金”を支払う義務はありません。
つまり、法定内時間外労働の分については、(通常)時間単価分の賃金だけの支払いで足ります。したがって、所定労働時間が4時間のパートさんが10時間働いたとすると、支払うべき賃金は、下記の3種類です(実質的には2種類)。
ただし、就業規則等で労働基準法の規定を上回る労働者有利の規定がある場合は、就業規則等のほうが優先されますので、就業規則等に
というような規定がある場合には、法定内時間外労働の場合であっても割増賃金の支払い義務が発生することに注意が必要です。