労災保険≪初級編≫
誰のための保険?
私たちの生活に一番身近な社会保険として健康保険があげられます。風邪をひいたり、ケガをした場合などに病院で使っている保険です。しかし、その病気やケガが仕事中に発生したり、業務が原因となって引き起こされたような場合、健康保険は使えないことになっています(健保法55条1項)。仕事を原因とするケガや病気は、会社が治療費を負担する義務があるからです(労基法75条)。また、治療費だけでなく休業補償や障害が残った場合の補償も会社がしなくてはなりません。
とはいえ、会社がすべてに対して責任を負うことは、実務上からも費用面からも酷であり、現実的ではありません。そこで会社は国が運営する保険に加入し、万が一に備えるという手法が労働者災害補償保険(労災保険)なのです。つまり、労災保険は会社の補償義務を肩代わりし、会社の負担を軽減していると同時に被災者(社員)救済に万全が尽くされているわけです。