労災保険≪初級編≫
業務遂行性 業務起因性って何だ?
もう一つ保険給付の条件として「業務遂行性」と「業務起因性」があります。(初級編のなかで一番ややこしいところです)
- 業務遂行性:仕事中に発生したケガ・病気であるかどうか
- 業務起因性:仕事がけが・病気の原因になったかどうか
この両者が認められた場合に労災保険の補償を受けることができます。(*業務起因性が認められるための条件として、業務遂行性があるといえます。)
工場での作業中に機械にはさまれた、建設現場から転落して負傷したあるいは死亡したような場合、労災保険の補償を受けられることはまず間違いありません。
しかし、仕事中のケガや病気あるいは死亡でも業務遂行性と業務起因性が認められなければ、労災保険の補償の対象とはならないのです。
- 労災保険の補償を受けられる例
・プレス機械にはさまれて指を切断した
・重量物の取り扱い中に転倒して負傷
・社内の階段を踏み外して骨折
・休日出勤の通勤中に交通事故で被災
・労基法施行規則に定められている業務上疾病にかかった - 労災保険の補償を受けられない例
・仕事をきっかけとした口論がエスカレートし同僚に殴られた
・休憩時間に食事に出かけたところ、車と接触した
・屋外作業が続いて風邪をひいた
・天災地変にまきこまれた
留意すべき点として、仕事というと何らかの作業をしている時間を思い浮かべるかもしれませんが、労災保険では会社の支配・管理下にあれば仕事をしている、つまり業務遂行性があると考えられています。休憩時間中のケガでも、会社施設の欠陥が原因なら会社の管理下での出来事ですから、業務遂行性が認められ、労働災害の可能性が高まります。一方、自宅で睡眠中に脳梗塞を起こしたような場合でも、その原因が仕事にあること、言いかえれば業務起因性を証明できれば、労働災害となる余地があります。